今年は映画の勉強も兼ねて往年の作品にも触れていこうということで元旦からいろいろ観ている。
そんなわけで映画館・配信・ソフトひっくるめて備忘的に観た順で書き残しておきたい。
目次
- 【U-NEXT】ジャズシンガー
- 【U-NEXT】タクシードライバー
- 【U-NEXT】ウィッチ
- 【映画館】I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ
- 【映画館】占領都市
- 【映画館】ビーキーパー
- 【U-NEXT】サスペリアPART2
- 【U-NEXT】聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア
- 【U-NEXT】スケアクロウ
- 【U-NEXT】悪魔のいけにえ
- 【Blu-ray】鬼畜
- 【U-NEXT】ライトハウス
- 【U-NEXT】椿三十郎
- 【映画館】エマニュエル
- 【映画館】どうすればよかったか?
- 【映画館】室町無頼(IMAX・先行上映)
- 【U-NEXT】ミッドサマー
- 【U-NEXT】サブウェイ・パニック
- 【U-NEXT】男はつらいよ
- 【Prime Video】レッド・ロケット
- 【Prime Video】シビル・ウォー アメリカ最後の日
- 【U-NEXT】サスペリア(1977)
- 【映画館】トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦
- 【映画館】アプレンティス ドナルド・トランプの創り方
- 【映画館】敵
- 【Prime Video】ボーはおそれている
- 【U-NEXT】ファーゴ(1996)
- 【U-NEXT】桐島、部活やめるってよ
- 【映画館】嗤う蟲
- 【映画館】ストップモーション
- 【U-NEXT】セッション
- 【映画館】鹿の国
- 【映画館】94歳のゲイ
- 【映画館】ディックス!! ザ・ミュージカル
- 今月の好きになった映画5作【1月版】
1927年に公開された最古のトーキー映画でありミュージカル映画。今年は映画について勉強しようという意気込みも込めて鑑賞。記念碑的な作品でありつつ、内容もしっかりと楽しめた。
あらすじとしては、ニューヨークのユダヤ人街で生まれ育った少年ジェイキーは5代続く先唱役の家系で、ユダヤ教司祭長で厳格な父から唄を仕込まれていたが、密かに街場の酒場でラグタイムを歌い踊っていた。ある日それが父に知られジェイキーは勘当され家を出る。年月が経ち、故郷から遠く離れた街でジェイキーはジャックと名を変えて歌手として花開き、大舞台のチャンスを手にする。しかしその舞台の日に父が危篤となり、母からは父の代わりに聖歌隊の歌唱を頼まれ、自分の人生における決定的なチャンスと家族の絆、そして信仰の間で大きく揺れる、という感じ。
歌唱パートとごく一部の会話のみトーキーであり、あとは基本的にサイレント映画のように会話シーンでは適宜黒バックにセリフがテキストで表記される形での会話となる。上映から100年近く経ち、映画の技術や表現技法も大きく進歩したことを実感した。
平山夢明先生の巨ペリ特典『死ぬまでに観たほうが良い作品』からピックアップ。マーティン・スコセッシ監督による、脚本ポール・シュレイダー、主演ロバート・デ・ニーロのトリオによる一作目となる1976年の映画。
ベトナム戦争帰りで不眠症となった男トラヴィスが掃き溜めのような街にうんざりしながらタクシードライバーとして生活し、次第に度を超えた狂気が立ち込めてくるという話である。余談だがトラヴィスの狂気の引き金を引いたベッツィ(シビル・シェパード)もアイリス(ジョディ・フォスター)も大変かわいい。
2015年のロバート・エガース監督の映画。A24映画を掘り返すべく鑑賞。後にマッドマックスフュリオサにてフュリオサを演じるアニャ・テイラー=ジョイが主演(かわいい)。
17世紀のアメリカ・ニューイングランドにて、教会と折り合いがつかず街を追放された敬虔なキリスト教徒一家が森の魔女の存在により災いまみれになり完全崩壊する様をねっとり描いた作品。イヤ〜なムードがすごいのだが引き込まれる作品であった。おすすめ。

映画好きクソ野郎高校生ローレンスの痛くも愛おし青春ムービー。2000年代初頭のほんのりとしたノスタルジックさもグッと来る。おすすめ。


スティーヴ・マックイーン監督によるあまりに重厚なドキュメンタリー。アムステルダムの各地の現代の映像と、その場所で恐怖の時代(ナチス占領下にあった1940-1945年)に起きてしまったことを淡々と語るナレーションのギャップが多層的に歴史を浮き彫りにしていくような、鮮烈な印象の超大作(251分…!)。

ジェイソン・ステイサム主演の超痛快な容赦のない世直しアクション映画。詐欺被害に遭い命を絶った親切な隣人の仇討ちのために次から次へとクソなヤツらを薙ぎ払っていくステイサム様に思わず拳を握ってしまう。なんならその正義に狂気すら感じて怖いくらいである。
お正月に最適な豪快さも大変良い。
ダリオ・アルジェント監督によるミステリー映画。最高であった。
テレパスの女性ヘルガによる心霊学会での講演にて、彼女は聴講者の中に殺人者がいることに気づき、薄暗い客席に警告する。そしてその夜、彼女は何者かに殺害されてしまう。アメリカ人ピアニストのマークは、アル中の友人カルロとの雑談中にたまたまヘルガ殺害の現場を建物の外から目撃していた。彼が現場に駆けつけると、ヘルガが息絶えており、窓の外を見下ろすと走り去る人影があった。マークは自ら事件を調べ始める、という物語である。
イタリアのプログレ・バンドゴブリンによる妖しくもスリリングなテーマ曲がとにかく素晴らしく要所でかかるたびに高揚感がもたらされる。画も音楽も良すぎてまた観たくなる映画であった。
ちなみに邦題のせいでややこしくなっているが、あとに作られた『サスペリア』が日本でヒットしてそれにあやかり、先に作られていた原題『Profondo rosso』を『サスペリアPART2』としてしまったという。両作品は内容的には無関係。
2017年の居心地悪すぎヨルゴス・ランティモス作品。
かつて酔って手術をして患者を殺してしまった外科医が、罪悪感からその息子と交流を深めていたところ『バランス』をとらなくてはと迫られ、家族を巻き込んだ恐ろしすぎる状況に持ち込まれてしまう。
冒頭から強すぎる画の力に引き込まれる怪作。いや~なムード満点だがおすすめ。
973年の映画。ジーン・ハックマン扮する暴力事件で6年刑務所にいたしかめっ面のマックスと、アル・パチーノ扮する交際相手が妊娠したままに放浪して5年間の船乗り生活から足を洗った男フランシスが、路上で意気投合してビジネスを始めるべくピッツバーグを目指すロードムービー。
日銭を稼いだり無銭乗車したりしながらの二人の生活がなんとも良く、ラストは哀しみが残りつつも、マックスの旅を終えない意志にグッと来る。素晴らしい作品である。
1974年のトビー・フーパー監督によるスプラッターホラーの名作。
サリーは兄、友人、恋人含め5名で車で帰郷がてらテキサスへ向かう。道中ヤバヒッチハイカーを拾ってしまい一悶着起こしつつ、その後立ち寄ったスタンドにガソリンがなく、燃料不足を抱えたままに目的地へ到着。近所にあった家にガソリンを分けてもらおうと2名が訪問すると、かのレザーフェイスにものすごい勢いでやられてしまう。そんなわけで、その家はゲキヤバ一家の家であり、次々にメンバーが犠牲になってしまう…という話。
予算の都合による16mmフィルムでの撮影による荒い画質や、不気味なソーヤー一家の家の美術がムードをむんむんに高めまくっていて見応え満点である。また追ってくるチェーンソーの音とサリーの絶叫が凄まじいBGMとなっている。
松本清張原作・野村芳太郎監督作品。U-NEXT始める前にBlu-rayで買ってた。
ある夏の日に小さな印刷所を営む宗吉(緒形拳)のもとに、愛人菊代と3人の子が押しかけてくる。妻お梅は激怒し、菊代は子を押し付けて一晩のうちに行方をくらます。子どもを引き取ったものの子に対するお梅の鬼のような仕打ちにただうろたえるばかりの宗吉。そして良からぬ想いが二人の仲に立ち込めていく、という恐るべき大人のエゴを描いた作品である。
なんの罪もない無邪気な子どもたちが大人たちの残酷な選択により悲劇に巻き込まれていくさまは戦慄しきりであった。
先週観て面白かった「ウィッチ」のロバート・エガース監督による2019年の映画。
19世紀のニューイングランドの孤島の灯台守2人が嵐の中取り残され、幻想と狂気が立ち込めていくスリラーである。
映像へのこだわりがものすごい。モノクロでかつ1.19:1という珍しいアスペクト比がなんとも閉塞感を醸し出しイイ感じであり、ビンテージレンズでフィルム撮影されたなんとも美しい質感の映像は白眉。そこに映し出されるのが怒れるデフォーの顔面だったり荒れ狂う海だったり、現実か幻想かわからないあれやこれやだったりするので異様な不気味さに満ちた作品であった。
黒澤明監督の1962年の時代劇。
9人の若侍が神社の社殿に集まって藩の汚職問題をどうにかすべく色々画策していたところに無賃宿泊で居合わせた男(三船敏郎)が現れる。で、実は今まさに藩の要職の人達にハメられ一網打尽にされかけていたと知る9人なのだが、話を聴いていた男のアドバイスで難を逃れ、その後もなんだかんだとその男(後に「椿三十郎」と名乗る)に助けられつつ彼岸を成就する、というもの。
コミカルな演技もありつつ豪快な殺陣もあったりして、ついつい魅入ってしまう作品である。
オードレイ・ディヴァン監督による、50年前に映画化されている「エマニエル夫人」のリメイク作品。
香港の高級ホテルを査察するべくホテルに滞在する「現代の働く女性」となったエマニュエルが、自らの求める禁断の快楽を探る物語である。冒頭から女性が主体的に快楽を求めていく様が描かれる。
自身が欲望の対象になることなく、欲望が枯渇した男性ケイに惹かれるエマニュエルが最後に主体的に彼を「抱く」べく見出す手法はなかなか特殊で官能的である。
テーマ性や表現が現代的、というか一歩先行くような映画だと感じられた。

統合失調症の症状を発症した姉とそれを認めることができない両親たちを撮影してきた弟=監督がわかりあえなさと向き合い続けて作り上げた破格のドキュメンタリー。
「どうすればよかったか?」という問いには簡単には答え難いのだが、向き合う機会になっただけでも観れてよかったと感じた。
藤野知明監督と浅野プロデューサーによる舞台挨拶も聴けた。


『平山夢明のシネマdeシネマ』で取り上げられており、これも参考になるのでおすすめ(ただしこの回はいきなりカオスな絵面なので注意されたし)。
入江悠監督による、歴史書にただ1行だけ名を残した男・蓮田兵衛の歴史的無頼譚。
唾棄すべき体制をぶち壊す、という昨今余計に沁みる物語である。近所で先行上映していたので鑑賞してきた。
六尺棒による殺陣やIMAXが活きまくる画面密度の一揆の迫力はすさまじく、大いに見応えあり。
微妙に時代劇っぽくない音楽や横書きのキャプションにちょいと没入感を削がれたりもしたのだがアツい大作であった。

アリ・アスター監督の2019年のクセ強すぎホラー、あるいは恋愛映画、というかだいぶ歪んだコメディかもしれない。
両親を巻き込んで妹が心中してしまった傷心のダニー(フローレンス・ピュー)が、ダニーを重荷に感じつつある恋人クリスチャンとその友人らでフィンランド旅行へいくことになる。90年に一度の夏至祭に参加することになった彼らはその見知らぬ地の因習に巻き込まれていく、というもの。
ヘレディタリーに引き続き、デザインされた美しい映像の中で描かれるいや〜な状況が相変わらず凄まじい。けど、ところどころ笑ってしまうくらい変でもある。個人的にはかなり好きな映画であるが、おすすめしづらさもまた凄まじいのであった。
ニューヨークの地下鉄車両が武装した4人組の男にハイジャックされ乗客を人質に身代金が要求される。わずか1時間のうちに100万ドルを用意できるのか、犯人は地下からいかに脱出するのかといったところでなかなか手に汗握る名作である。管制室から犯人を応対するウォールターマッソーの顔面もだいぶいい味。音楽もかなりイイ。
リメイクもされているが、今回観たのは1974年のオリジナル。
ご存知寅さんの人情喜劇シリーズ第1作目。ちゃんと観たのは初めて。
20年前に故郷を出たフーテンの寅がある日異母妹さくらと叔父夫婦が住む東京都葛飾区柴又・柴又帝釈天の門前にある草団子屋に戻って来る。頼まれて行ったさくらの見合いで飲みすぎて失敗して縁談をぶち壊したり、さくらとその想い人・博の間を取り持とうとして余計なことをしでかしたりするのだが、なんだかんだ二人は互いの想いに触れ結婚することに(結婚式がまた良い!)。かたや自分は帝釈天住職の娘・冬子に一目惚れするのだが…という感じ。
基本厄介者な寅さんだが、ドタバタとしたおかしなやり取りや人情に厚い様からどうにも憎めず、マドンナへの恋に浮かれそして敗れる様は哀愁に満ちている。
ショーン・ベイカー監督が描く社会の片隅であがく人びとを描いたヒューマンドラマ。
2016年のアメリカ。テキサスに出戻ってきた落ちぶれ無一文な元ポルノ男優のマイキーは強引に別居中の妻レクシーとその母親の家に転がり込む。その経歴もありまともな仕事が得られず昔のツテでマリファナを捌いて糊口をしのいでいた。ある日ドーナツ屋のバイト・ストロベリーと出会い、彼女とともに再起を目指すのだが…といった話。
強引で身勝手でまぁいろいろと最悪な男が最悪なことを最後まで続ける映画なのだが微妙に憎みきれない、というかなんか好きになってしまう気もしてくる不思議な魅力に満ちた作品だった。どう見ても害悪なのだが…。その背後にあるであろう貧困の問題なんかも見え隠れしている。
16mmフィルムの質感もイイ感じ。近々ショーン・ベイカー監督の映画が近所で上映されるので予習的に鑑賞したが素晴らしかった。おすすめ映画である。
昨年の個人的ベストの一本がPrime Videoのラインナップに入ったのでもう一度観た。
やはり劇場で観たほうがより臨場感があるが、おすすめ作品である。
サスペリアPART2が素晴らしかったためダリオ・アルジェント監督作品からサスペリアを鑑賞。
ドイツのバレエ学校に留学してきたアメリカ人のスージーだったが、到着早々に退学させられた生徒が殺されてしまったり、天井から大量の蛆虫が落っこちてきたり、盲目のピアニストが訓練された盲導犬に噛み殺されてしまったりと、恐ろしい怪事件が多発して終始困惑してスージー目を開きっぱなしである。仲良くなったサラまで急に消えてしまい、サラの友人へと相談に行ってみるとなにやらオカルトなムードが立ち込める、ってな話。
振り切った色彩の照明や相変わらず明るすぎる色合いの血糊がイイ感じ。イタリアのプログレバンド・ゴブリンによる音楽も大変いかがわしく素晴らしい。ラスト激しすぎてなんのこっちゃ!?となる愉快な映画である。
九龍城砦を再現したセットで繰り広げられる香港アクション映画。
80年代、密入国した陳洛軍:チャン・ロッグワン(レイモンド・ラム)は黒社会の洗礼を受け九龍城砦へと逃げ込む。そこで住民たちに受け入れられ、仲間と友情を育む。九龍城砦を取り巻く争いが激化していく中、洛軍たちは命を賭けた戦いへと挑む、という感じの話。
激渋おじさんがはひしめきつつ、その下の世代に受け継がれていく意志が熱く激しく描かれる。迷宮のような九龍城砦のセットは圧巻。ルイス・クー演じる生ける伝説おじさんロンのかっこよさが半端ない。なかなかにド派手なアクションが楽しめる良作であった。

アリ・アバッシ監督の新作映画。面白かった。
若き日のドナルド・トランプが如何にしてハリボテで殴りつけてなんでもかんでも押し通すバケモンになっていったのか、というのを描いた映画。ロイ・コーンという悪徳辣腕弁護士の教えをもとに良識を踏みにじり家族をも蔑ろにして突き進む姿には拭いきれない虚しさが漂っているのであった。セバスチャン・スタンの口元のトランプ感がものすごい。
また音楽が大変イイ感じ。

筒井康隆の長編小説をもとにした吉田大八監督によるモノクロな新作邦画。傑作…!
10年前に大学を辞した元教授渡辺儀助77歳は老醜を潔しとせず預貯金から余生を逆算し、規則正しいハリのある生活を送っているが、ほんのりと残る煩悩に翻弄されつつ、ある日迷惑メールに紛れ届いた「敵」という存在の報せが不穏に彼の生活を脅かし始める、というもの。
憧れすら抱いてしまう儀助の「ハリのある余生」が淡々と描かれる様にまず見入ってしまう。しっかり自炊している儀助だが、フードコーディネーターがついた食事シーンはモノクロなのに異常に美味しそう。そして生活を脅かすようにあらわれる悩ましい3人の女性、そして「敵」。妄想か夢か明示されないシーンが続き、見ていても混乱がもたらされる不安と、その先にある安らぎの予感に少しずつ忍び寄る老いと、その先を想起せずにはいられない。驚異の人間ドラマ。


アリ・アスター監督の3作目。個人的には前作に比べると没入しがたい印象。ってかわからん。
独身中年ボーは珍ハプニングで帰省に失敗し母親に罵倒される。で、水必須のクスリを飲もうとしたら家の水道がとまってて焦ってコンビニに駆け込むも、ホームレスに自宅を乗っ取られ、その間に母が怪死。今一度帰ろうとするもうっかり風呂に入ったら天井におっさんが張り付いてて、びびって飛び出したら全裸通り魔に間違えられ警官に撃たれかけ、その勢いで轢かれて刺されて、轢いた加害者に拉致られ自宅で手当され、そこの娘に嫌われまくり、そこの同居人に命を狙われ、色々あってどうにかこうにか実家までたどり着くのだが…という、おっさん(ホアキン・フェニックス)が災難にあいまくる映画である。
相変わらず嫌な描写が素晴らしいのだが、通してわりとポカーンとしてみていた。町山智浩氏の解説動画などを見て「ほーん」となったりした次第である。
コーエン兄弟による1996年の名作。
金を工面すべく夫が自分の妻を狂言誘拐させて義父から大金をせしめようとしたところ、誘拐を依頼したチンピラがあんまりなやつらで途中でうっかり3人もの人を殺しており、その後もなんやかんやで散々な結果に終わるというブラックコメディ感たっぷりなサスペンス。
計画していた通りに全く運ばない残念な感じに、もはや笑うしかない感すら立ち込めてくる。
大いに感銘を受けた新作『敵』の吉田大八監督の2012年の監督作。これまた面白くて一気に監督のファンになりつつある。
話はある高校の生徒「桐島」が急に部活をやめたらしい、ということが周りの高校生たちに妙な波及を及ぼしていく群像劇。彼の親友や彼女やその友人たちにバレー部の部活仲間、そしてあまり関係のない吹奏楽部や映画部までを巻き込んで彼らの中では大事に発展するのだが、最後まで「桐島」自体は現れることがない。金曜から火曜にかけてを曜日単位で、何人かの登場人物の視点で同じ時間軸の物語が何度か繰り返される。
高校生らしい運動部・文化部・帰宅部の雰囲気だったり、表面的なやりすごしやら、内に秘める想いやら、なにかに打ち込む姿やなんにも打ち込めない感じやらが、なんだかリアル。で、それがある視点からはわからないが、別の視点で浮き彫りになっていく構成の妙を大いに感じる。
若き日の神木隆之介氏や東出昌大氏の演技が大変素晴らしいのであった。また神木くんが演じる映画部前田の運動音痴な感じがもう最高である。
ステキなスローライフを夢見てド田舎へと移住した若い夫婦が村に絡め取られていくビレッジスリラー。ほんのりと溜まっていく違和感に気づいたときにはしっかりと絡め取られていて逃げるに逃げられない構成がイイ感じ。村の秘密とそこからの狂乱に乗じた着地地点も良かった。深川氏とてもよいです。

偉大なるストップモーションアニメ作家の母からの徹底的な抑圧と服従からふと放り出されたヒロインが、ある日であった不思議な少女との邂逅から始まる創作地獄に臨むサイコホラー。
結構痛いしキモチワルイ。
グロカワなコマ撮りアニメがとても良い。





ディミアン・チャゼル監督の2014年の作品であり、第87回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、3部門で受賞している。助演賞を受賞したJ・K・シモンズの怪演が凄まじい。
話は偉大なジャズドラマーを志す青年アンドリューがアメリカ最高峰の音楽学校にて学院最高の指導者と言われるフレッチャーと出会い、狂気に肉薄する指導と文字通り血が滲みまくりな鍛錬でもってドラムに向き合い続け…というもの。
ラストの展開からくる凄みはまさに圧巻であった。
太古から諏訪の地に根付く自然信仰に迫り、謎に満ちた神事の再現に挑むドキュメンタリー。
日本の美しい四季の移り変わりや、そこで暮らす人々の姿を収めた映像がとても良い。
平日にも関わらず満席となっていた(席予約した矢先に近所の映画館での上映が決まった…)。

昨年公開のドキュメンタリー映画。主人公たるゲイ男性・長谷氏の追悼上映とのことで初めて鑑賞した。
同性愛が病と扱われていた時代に、孤独を決め込んで詩作を拠り所として生き抜いたその人生と、時代の移り変わりに迫るこれまた素晴らしい作品である。一人で暮らす長谷氏は非常にチャーミングなキャラクターであり、それだけに時代が少しでも早く動いていればともどかしい思いが去来した。晩年にわかりあえる友人ができたことは本当に救われる思いであった。
また薔薇族編集長伊藤文學氏のアツい想いに触れ感動したり。おすすめドキュメンタリーである。

生き別れた双子が不意にめぐり逢い、『家族』を求めて両親の復縁を目論むコメディ・ラブストーリー・SF・スリラー・ミュージカルな家族ドラマである。
素晴らしい楽曲に徹底したド下ネタな珍歌詞が乗り、不謹慎でもって殴りつけ、しまいにはポリコレ的な諸々もまとめて殴り倒す珍ストーリーには妙な爽快感がある。A24初のミュージカルとの触れ込みで鑑賞した。珍映画である。
映画館で鑑賞した作品から5作品選定したのがこちら!
- 敵
- 94歳のゲイ
- どうすればよかったか?
- 占領都市
- I Like Movies