ツイスターズ、という映画を観てきた。
超巨大竜巻の脅威を描いたディザスター・ムービーである。
1996年の「ツイスター」とは世界観を共有しており、続編と言える作品となっている。
そんなわけで感想などを書き記しておきたい。
※以下、映画の内容に触れているのでご注意ください。
【ツイスターズ】ふわっとしたあらすじ
主人公ケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)は幼少より悪天候大好きっ子であったそうな。
お母さんいわく、ケイトは風呂はいってて雷鳴が聞こえたりすると素っ裸で外に飛び出しちゃうくらい悪天候好きだったそうな…(やばすぎ)。で、天才気象学者となってしまったわけである。そして学生の時分、竜巻を鎮める研究を実証すべくどでかい竜巻に遭い仲間や恋人を失っていた。
それから5年後、そのショックを引きずりつつもニューヨークにて自然災害予測の仕事に打ち込んでいた。
ある日学生時代の竜巻でともに生き残った仲間であるハビ(アンソニー・ラモス)から、彼が起こした企業で行っている竜巻観測のサポートを頼まれる。トラウマに向き合いながら1週間の期限付きで、故郷を幾度となく襲う竜巻に今一度最新機材とともに向き合うことに。
観測先で破天荒なYouTuberタイラー(グレン・パウエル)の竜巻チェイサーチームと出会い、競うように竜巻を追うケイトだったが、ある日の竜巻により被害にあった街の惨状を目の当たりにする。ちなみにタイラーのチャンネルは登録者100万人超えの人気者だったりする。
命知らずな言動とはうらはらに、被災地で救助や支援をするタイラーのチームを見かけ、またタイラーからはハビのチームの出資者の良くない噂を聴かされる。
で、タイラーに誘われて気晴らしにカウボーイショーを観に行ったケイトは、それぞれの竜巻に関するルーツを束の間話し、お互いのことを少し知る。そしてそこでも竜巻に遭遇してしまう。
かつての悲劇が脳裏をよぎりつつ、救える人を救いながら2人共どうにか生き残る。
ハビのチームの方針に疑問を持ち始めていたケイトは口論の末ハビと決別し、勢いで実家へと足を運ぶ。
家の納屋には昔独自に竜巻を研究していた名残が(それこそ中学生のときのものも)そのままに残っていた。
さらにそこに調べをつけたタイラーが単独でやってきて、さらになぜか母親はタイラーを家に泊めることにしてしまう。
ケイトはタイラーとともに研究を見直し、今一度竜巻撃破を実現することを決意する。
といった感じである。
ちなみにディザスター・ムービーでは珍しいことに女性がヒーローとなる脚本になっている。
【ツイスターズ】感想
臨場感にびびる
怒涛の竜巻シーンが6度にわたり続く、終始なかなか手に汗握る作品であった。最初から最後まで竜巻づくしで、さらにその竜巻にもいろんなバリエーションがあって驚かされる。そしてそれぞれ竜巻の圧倒的なエネルギーが感じられる映像で結構しっかりハラハラさせられて楽しかった。
ちなみに筆者は普通の映画館で観たのだが、聴くところによると4DXの映画館ではかつてないくらい座席が揺れるそうな。
そちらで観てみたかったという気持ちも出てきている。
本物の科学への敬意と熱意あり
そんな臨場感満点の映像だったわけだが、制作にあたっては科学的にしっかりとした土台の上で作られているとのこと。
映画の中で考えられている竜巻を手懐ける方法は現実でも実現の可能性があるものになっている(実際にはまだ完全に消すことはできていないらしい)。竜巻ってのはまだわからないことが多いらしい。
気象学者や竜巻チェイサーへの取材も念入りに行われ、また前作「ツイスター」の技術アドバイザーにも声がかかったという。その人からキャストやスタッフにも竜巻の基本がレクチャーされているらしい(雷雨がどう竜巻を作るのか、とか映画の中で頻繁に出てくる、藤田スケール(竜巻の規模)の測定方法とか、竜巻の形状などなど)。
映画の中で出てくる「EF5」のEFが「改良藤田スケール」の略となっている。シカゴ大名誉教授だった藤田博士が開発したスケールが元になっている。また微妙に紛らわしいのだが、作中の双子竜巻の進路が変わった現象はフジワラ効果というらしい。
またエンドロールで表記されるスタントマンの数が非常に多かったのは、無常にも竜巻に飲み込まれていく人がその飛ばされていく様子を実際に人で撮っているからと思われる。
ちなみに監督リー・アイザック・チョンは舞台となるオクラホマの近辺の出身であり、実際に子供の頃に家族とともに車で竜巻から避難した経験があるという。
そんなこんなで力のある映像が作られ、見ごたえある作品となっていた。
前作ツイスターを踏襲した世界観
ツイスターズ鑑賞後にツイスター(1996年作品/監督ヤン・デ・ボン)をPrime Videoにて視聴した筆者である。
ツイスターズの中で出てくる「ドロシー」と呼ばれる観測機は前作ツイスターにて完成したものである。
ドロシーといえばオズの魔法使いの主人公であり、オズの魔法使いは竜巻から始まる物語である。ドロシーは竜巻で家ごと飛ばされてオズの国に行ってしますのだ(知らなかった)。
今作ではハビ率いるStorm Parの車の呼称にもドロシーの仲間になる面々の名前が使われていたりと、引き続きのオズの魔法使いオマージュがみられる。
また前作は主人公ジョー(ヘレン・ハント)のチームのメンバーが今作のタイラーのチームのような陽気さを持っており、車から音楽を爆音で流しちゃう感じなどもここから来ていた模様。一番陽気なメンバーがユーライア・ヒープのLook at Yourself流すのが良かった。
対立するチームが資金潤沢でハイテクなのもツイスターからのオマージュのような構造である。
両方とも映画が上映中に竜巻が直撃するシーンがあるのもそうであろう。
今作でケイトが持っていた気圧や風の変化を敏感に感じ取る能力は、前作のビル(ビル・パクストン)が持ち合わせたものであった。
ケイトのタンクトップ姿もジョーのスタイルを踏襲していると思われる。
そんな感じでいろいろと痕跡が見て取れるので、今一度前作ツイスターを併せて観てみるのも大変良いと感じた次第である。
おわりに
ということでツイスターズを観た!という話であった。
序盤からラストまで手に汗握る迫力ある映像を楽しめる映画であった。
この夏おすすめの大作である。