【映画】『ジガルタンダ・ダブルX』を観た!【激アツインド映画】

ジガルタンダ・ダブルXのあらすじ・感想。おもしろすぎインド映画。

『ジガルタンダ・ダブルX』なるインド映画を観てきた筆者である。カールティック・スッバラージ監督の作品だ。

歌ったり踊ったりも当然ありつつ、サスペンスにアクションもあれば笑いもあり、ギャングもいれば悪徳警官もいるし密猟者もいる、潜入もあれば映画製作もある。

多くの要素が詰まりまくった激アツ映画愛映画であった。

ということで感想なんかを書き記しておきたい。

※以下、映画の内容に触れているのでご注意ください。

『ジガルタンダ・ダブルX』のおおまかなあらすじ

1970年代前半、インドのタミル地方にて。

血を見ると倒れてしまう新人警官キルバイ(S・J・スーリヤー)は、不可解な殺人事件の犯人として冤罪で投獄されてしまう。

政界に強いコネを持つ悪徳警視ラトナ(ナヴィーン・チャンドラ)の持ちかけにより、ある人物の暗殺をすれば無罪放免・復職できることになり、キルバイはそれを引き受ける。

キルバイのターゲットは「ジガルタンダ極悪連合」なるギャングの親玉・シーザー(ラーガヴァー・ローレンス)であった。

シーザーは無類の強さを誇るギャングである。

裏切り者を決して許さず、大勢のギャングを体一つでなぎ倒す超剛腕でもある。

そして裏切り者にもチャンスをやる。

自ら保有する映画館にて「夕陽のガンマン」を流しながら裏切り者に拳銃を渡し、早打ちでやり合うという流儀なのだ。これはクリント・イーストウッドにならってのことである。

映画館にはクリント・イーストウッドのカットアウト(大看板)が掲げられていた。

シーザーは無類の映画好きなのである。

で、自らも映画に出たいシーザーは監督と脚本を募集し始める。

それを知ったキルバイは映画撮影の現場で働く甥・ドゥラン(サティヤン)のしごと場に潜り込んで映画監督の立ち居振る舞いを覚え、ドゥランを従えてシーザーのもとへと乗り込む。

列をなす志望者が次々に失格になるなか、キルバイは自らを「サタジット・レイ(インド映画の代名詞的監督)」の弟子と名乗り、『ゴッドファーザー』のごとくリアルなマフィア像をシーザーで撮ることを提案し、それを受け入れられる。

さらにすぐさま撮影したいシーザーによって、脚本を待たずにドキュメンタリー的に撮影を開始することになる。

シーザーの日常は映画のごとくとんでもないことばかり起きる。それを撮り続けるキルバイはいつしか映画そのものにのめり込みつつあった。そして眼の前のターゲット=カメラを通してみる自分の映画の主人公に対して、複雑な想いを抱き始めていた。

自分のミッションの期日も迫る中、キルバイはある方法を思いつく。巨悪と巨悪をぶつけるというものである。

インド映画には「感動」もまた必要だが、現時点でシーザーのバイオレンスなシーンと歌って踊るシーンしか撮れていない。そこでシーザーの故郷を脅かす最悪最強の密猟者・シェッターニ(ヴィドゥ)を捕らえてヒーローになるシーンを撮ると伝え、二人はコンバイの森へと向かうことになる。

『ジガルタンダ・ダブルX』の感想

シーザーの初登場シーンのアクション、そして顔面の強さとそれを彩る音楽には興奮したし、監督レイ・ダースになりきるキルバイの低く響く声と鋭すぎる眼光にもやられた。

そんな感じでまず主演二人が非常に見ごたえがあるたまらん存在感なのである。

弔いのシーンでシーザーが裏切り者を立て続けに撃って、キルバイに銃を向けるとこ好きすぎる。対峙するキルバイが一歩も引かずに真っ向から8ミリカメラを構える様がかっこよい…!

ちなみにあのカメラ、Canonのオートズーム518スーパー8という機種だという。

主演二人が魅力的なのだが、さらに物語も骨太だ。

サスペンスに始まり、コメディのごとく展開で潜入し、「そんなことある?」などと思っているとアクション&バイオレンスからの政治、環境、恋愛とものすごい詰まりっぷりで結局ものすごい引き込まれた。

二人が紡ぐこの物語にはあらゆる要素が渾然一体と詰まっていた。上映時間172分なだけある。

そしてなによりその根底にあるのは圧倒的な映画への愛だと感じられるのだ。

映画冒頭、「お前が芸術(シネマ)を選ぶのではない、芸術(シネマ)がお前を選ぶのだ」と表記される。

キルバイはまさに映画に導かれ、シーザーもまた映画に導かれ、それぞれの使命を見出す。

映画というものを軸に、ラストは思わぬところまで物語が飛躍してゆくのである。

その展開っぷりにもまたやられた次第である。

最終的にこの作品は「映画のあり方」、そして「歌舞音曲のあり方」にまでも迫ってゆく。

インド映画(に限らないかも知れない)が歌って踊らなければならない必然性すら感じられる作品なのであった。

そんなわけで大変おすすめの映画と言える。

また振り返っていて、音楽も大変良い。荒野を感じさせる雄大でどこか寂しげな曲、ダンスシーンに宴の音楽、そして何と言ってもシーザーの登場シーンの音楽(度々かかる)などなど、音楽監督はサントーシュ・ナーラーヤナン氏による音楽もどれをとっても印象的であった。

おわりに

ということで「ジガルタンダ・ダブルX」を観た!という話であった。

先週観た『侍タイムスリッパー』に引き続き、「映画そのものの映画」とも呼べる作品であった。

【映画】『侍タイムスリッパー』を観た!【おもしろすぎる時代劇】

どちらも大変おすすめである。是非観てみていただきたい。

ちなみにジガルタンダというのは舞台となった食都マドゥライ地方の有名なドリンクだそうな。

牛乳、アーモンド樹液の結晶、アイス、ナンナーリシロップ(つる植物から作るシロップ)を混ぜた酷暑期の風物詩とのこと。ひんやり美味しそうである。それにしてもジガルタンダ極悪連合というネーミングたるや(かわいい)。

ポストカードをもらった。
裏面。
チラシ表。
チラシ裏。
観たのはとあるイオンシネマであったが、後に柏のキネマ旬報シアターでも上映されていた。